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2018年5月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 尾上 好美

多様化するリバースモーゲージ

 人生100年時代に向けて、これまで80歳までを目安に準備されてきたライフプランを見直す必要がでてきました。
 こうしたなか、長い老後生活に対する不安を感じている方のご相談が増えてきています。特に、老後の生活資金を補いたいというご相談には、自宅を活用しまとまった資金を調達できるリバースモーゲージというしくみをご紹介することがあります。
 これまで、主に都市部で活用されてきたものの、最近では地方でも広がっているリバースモーゲージについて、検討する際の注意点を見ていきましょう。

リバースモーゲージとは?

 リバースモーゲージは、所有する自宅を担保にして、そこに住み続けながら、自宅のリフォーム費用や老後の生活費等の融資を受ける方法です。亡くなった後に、その自宅を売却した金額で借入額(元本)を一括返済し、生存中は、毎月利息分のみの返済負担が発生するプランが代表的です。
 契約当初に設定された利用可能額に達するまでは、利息部分が貸越元金に組み入れられ、生存中の返済負担が発生しないプランもあります。

 お取扱い先は、住宅金融支援機構や銀行などの金融機関で、融資限度額は各機関の審査を受けて決まります。融資額は、自宅の評価額(主には宅地評価)の50%~70%程度が多いようです。
 また、国や地方自治体のリバースモーゲージには、都道府県社会福祉協議会が実施している、生活困窮者向けの生活福祉資金貸付制度「不動産担保型生活資金」などがあります。
 「厚生労働省ホームページ」生活福祉資金貸付条件等一覧

リバースモーゲージを検討する際の留意点

 まずは、老後の必要資金と住まいのプランニングをご家族で相談することが大切です。

  • (1)

    原則、推定相続人の同意が必要
    自宅を担保設定するリバースモーゲージでは、契約者の死後は、金融機関の所有に変わるため、相続の対象資産とはなりません。契約者の死後に想定される契約者親族とのトラブルを避けるために、多くの金融機関では契約の際に推定相続人の同意を得るようにしています。

    また、契約者の死後、配偶者が継続して自宅に住むことを希望する場合には、リバースモーゲージの契約を配偶者が引き継ぐことで、自宅に住み続けられるプランもあります。契約を継続できる条件は、金融機関によって異なりますので、事前に契約内容を確認しておくことが必要です。

  • (2)

    用途が融資条件に適合するか?
    資金使途について、限定しないフリーローン型と、金融機関によっては、住宅のリフォーム資金等のあらかじめ用途を限定することで、借入利率を低く設定したプランがあります。
    特に、住宅金融支援機構や市区町村の自治体等、公的な機関から融資を受ける場合、住居のリフォーム費用や医療費、介護施設利用料など用途が決められています。

  • (3)

    対象物件が融資条件に適合するか?
    一般的に、リバースモーゲージの対象とされる物件は、不動産取引の多い地域にある土地付き一戸建といわれています。最近では、マンションを対象とする金融機関も増えています。

    一方で、借地権が設定されている物件や店舗併用型住宅など一部事業用途の物件は、リバースモーゲージの担保物件として適切ではないと判断する金融機関があるようです。

    また、住宅ローンの残債がある物件に対しては、契約前に完済することを条件にするところもあれば、はじめから融資を受け入れないなど、金融機関によって判断は異なります。

    その他、金融機関の契約条件には、年収規定や保証人の有無、申込年齢などの他、金融機関によって様々な条件が決められていますので、まずは、問い合わせをして内容を確認することが大切です。

    金融機関によって、取り扱っている地域やその評価が異なりますので、自宅がある地域を対象とする金融機関が複数ある場合には、比較検討するといいでしょう。

自宅を担保にしない「賃料返済型リバースモーゲージ」

 「先祖代々から引き継いだ自宅を残したい」、「子どもが反対するので、契約できない」など、自宅を担保にすることが難しい場合には、自宅の賃料債権を譲渡担保に資金を調達する「賃料返済型リバースモーゲージ」という方法があります。一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)と提携し、JTIに自宅を貸すことで保証される賃料を担保にして、金融機関から融資を受けるしくみです。
 入居探しや賃貸管理などはJTIが行い、契約の際に審査を受けると最低保証賃料を設定でき、入居者がいない場合でも一定額以上の家賃を得ることができます。
 なお、申し込みの際に自宅の耐震診断を受けることや5年毎に建物診断を実施し、JTIが必要とした場合は修繕を行うなど、一般的なリバースモーゲージとは条件が異なるので注意が必要です。
 一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)

 このように、自宅を活用し老後生活をより豊かに生きる選択肢として、様々なリバースモーゲージ型プランが増えてきています。
 状況は日々変わりますので、まずは、複数の金融機関に問い合わせてみることをおすすめします。

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