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2018年6月号(2)
保険
CFP®認定者 丸子 いずみ

持病がある人の保険

 テレビCMや新聞広告でも多く見かけるようになった「持病があっても加入しやすい医療保険」。健康状態に不安のある人には「渡りに船」と感じるかもしれませんが、実際はどういう保険なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
 今回は持病がある人にも入りやすい医療保険の特徴と加入にあたっての注意点を見ていきましょう。

3つの特徴

「持病があっても加入しやすい医療保険」は主に下記の3つの特徴があります。
1.申込時の診査(引受基準)が緩和されている
2.保険料が高めで、支払削減期間がある
3.持病が悪くなった時も保障がある

■特徴1 申込時の診査(引受基準)が緩和されている
 最大の特徴は、加入時の健康状態に対するハードルが低いこと。そのため、「引受基準緩和型」や「限定告知型」の医療保険などと呼ばれています(以下、本文では引受基準緩和型の医療保険といいます)。保険会社によって若干の違いはありますが、3~5つほどの質問のみで、これらすべてに「いいえ」と答えられる人が申し込みできます。具体例でみてみましょう。

告知項目の例
1.最近3か月以内に、医師から入院・手術・検査をすすめられたことがありますか。また、現在入院中ですか。
2.過去2年以内に、入院・手術がありますか。
3.過去5年以内に、がん・肝硬変で、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことはありますか。

 一般の医療保険が過去5年間の健康状態を問うのに対し、引受基準緩和型の医療保険では過去2年(もしくは1年)です。1問でも「はい」に該当する人(たとえば、半年前に骨折で入院した人など)は、「いいえ」になるまで待って再チャレンジしましょう。

■特徴2 保険料が高めで、支払削減期間がある
 引受基準緩和型の医療保険は保険料が高く、その上、加入直後から1年間は保障が半額になるという特徴があります。

 例えば、50歳男性が一般の医療保険で月2,655円で加入できる商品(終身払い終身保障 入院日額5,000円)とまったく同条件の引受基準緩和型の医療保険は4,450円となります。
 そして、1年間は支払削減期間となっていて、入院しても受け取れる日額は1日あたり2,500円となります。

 この例では、保険料は1.6倍を超えています。他の保険会社も一般の保険と比べて高額になっています。
 皆さんの中には、一般の保険の診査で「条件付き」承諾を経験した方もいらっしゃるかもしれません。契約者間で不公平が生じないように、保険会社はそれぞれ、健康状態に一定の基準を設けています。その基準から外れる場合、特別条件付きで承諾、もしくは申し込みを断られます。
 一般の保険の「特別条件」のうち2種類を標準装備したのが「引受基準緩和型」の医療保険です。その2種類とは、保険料を上乗せして払うこと、一定期間は保障を減額するというものです。
 うれしいことに最近では、保障の削減がなく加入当初から満額保障するという商品も出てきました。また、保険会社によって、引受基準に少しずつ違いがあり保険料もさまざまです。申し込みを考えるときは複数社、比較検討することをおすすめします。

■特徴3 持病が悪くなった時も保障がある
 引受基準緩和型の医療保険の大きな魅力といえば、やはり持病さえも保障されることでしょう。持病での入院経験がある人は、また入院するかもしれないという不安があります。その時も保障されるというのはとても心強いでしょう。

加入にあたっての注意点

 続いて、加入を検討するにあたり、気をつけたいことをみてみましょう。

■加入にあたっての注意① 見直しの場合
 もし今すでに保険に入っていて、何らかの事情で見直しが必要になり、引受基準緩和型への移行を検討している場合、今一度、保険を切り換える必要があるのか考えてみましょう。例えば、加入中の保険を少し減額するなどの手直しで目的が達成できるかも知れませんので、保険会社へ問い合わせてみてください。安易に切り換えてしまうと、加入中の保険よりも条件が悪くなることもあります。

■加入にあたっての注意② 一般の医療保険も挑戦してみるべし
 「本当に引受基準緩和型にしか入れないの?」との疑問も持ってください。毎回の保険料は一般の医療保険に比べて高くなります。まずは一般の医療保険に申し込み、断られた場合に引受基準緩和型を検討するというのが順序です。

 どんな保険の場合も共通ですが、診査ではできるだけ詳しく告知してください。
例えば、飲んでいる薬の名前や量なども詳細に報告しましょう。最近の血圧測定の結果を記入や、毎年受けている職場の健康診断の結果票の提出が有利に働くこともあります(*1)。
 保険会社は提供された情報を総合的に判断します。その上で、たとえ保険料を上乗せして支払うことになったとしても引受基準緩和型より保険料が抑えられる可能性もあります。
もし仮に、1社診査が通らなくても、あきらめず別の会社に申し込んでみてください。診査の基準は保険会社すべてが同じではありませんので、別の会社では加入できる可能性があります。
 それでも加入できなかったら、ここで初めて引受基準緩和型を検討するといいと思います。

(*1)
 必ずしも情報提供が診査にプラスの影響を与えるわけではありません。例えば健康診断結果に「要精密検査」と指摘があるのに放置している場合は逆にマイナスの影響を与えることになります。

■加入にあたっての注意③ なんのために?
 加入を検討するその前に、もう一度原点に返り「なんのために自分は医療保険に入りたいと思っているのか?」を見つめ直してください。
 これまで保険に入れないとあきらめていた人にとって、「加入すること自体が目的になっていないだろうか」ということです。保険とは本来、アンラッキーな出来事が起こった時、初めてそのチカラを発揮する金融商品です。つまり、儲かってわくわくするようなものではありません。
 また、このタイプの保険料は割高ですし、医療保険という特性上、数千万円といった高額を受け取ることは考えにくいものです。加入しない場合、どの程度の損失がありそうか、それは貯蓄では賄えないのか?ということまで考えてみましょう。
 反面、入院時の経済的な負担の大小にかかわらず、「保険に加入している」事実そのものに「安心を得られる」という価値もあります。あなたや家族が治療費への不安感が強いなら、加入は安心へとつながります。実際、引受基準緩和型の医療保険に最近加入した方は、その理由を「子供に迷惑をかけたくないから、心配をかけたくないから」と答えたといいます。
 この保険料が我が家にとって、安心料に値するかを考えてみてください。

 以上、持病があっても加入しやすい医療保険を見てきました。
 保険は万が一の時に安心するためのものですが、選び方は人それぞれです。これを機会に、家族の保険の総点検をしてみてはいかがでしょうか。

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