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2018年10月号(1)
資産運用
CFP®認定者 向藤原 寛

iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットと利用時の注意点

 2017年1月から専業主婦、公務員等の加入が可能になった個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者は8月末日現在1,009,766人となり、100万人を突破しました。

 iDeCoは、私的年金のため加入は任意、自分で申し込み、掛金を拠出し、自らが運用方法を選びます。積み立てた掛け金は運用実績と合わせて60歳以降に一時金もしくは年金として受け取ることが可能です。公的年金以外の老後資金の準備方法のひとつとし、しっかりと仕組みを理解し、利用について検討いただきたいと思います。

最大限活用したい3つのメリット

(1)所得控除
 例えば一般的なサラリーマンで、会社に企業型確定年金制度がない方が、年間積立上限額276,000円をiDeCoで積み立てた場合、積立金額全額について所得がなかったものとして年間の所得を計算(所得控除)されます。
 例えば所得税率10%の方であれば、その年の所得税は27,600円軽減されます。本人の口座からの引き落としで積み立てている場合、会社の年末調整で還付できますのでメリットを実感できます。さらに翌年の住民税10%が軽減されることになりこちらも27,600円支払額が軽減できます。

(2)運用益非課税
 NISA、つみたてNISAなどについても運用益非課税のメリットがあります。通常、運用益には20.315%課税されます。100万円の運用(売却)益があると20万円強の税金の支払が必要になりますが、これらの非課税制度を利用している資産についてはこの税金がかかりません。
 iDeCoが特に有利となる点は、売却後の課税の取り扱いです。NISA、つみたてNISAについては、売却時にその年の非課税枠が既に利用済みの場合、年内の次の投資については課税対象になることを前提に投資することになります。iDeCoについては常に非課税で運用を継続することができ、運用の見直し、リバランス(一定の資産配分比率を保つため組入れ資産内で売却、買付をすること)も常に非課税のまま実行できます。

(3)受取時の税制
積立時に所得がなかったものとして所得控除の恩恵を受けられますが、受取時は課税対象になります。その扱いは一時金で受け取ると退職所得、年金で受け取ると公的年金等として扱われ、65歳以上で公的年金等の年間収入金額が330万円以下の方の場合で120万円といった公的年金等控除の対象となります。退職所得控除は積立期間1年につき40万円、20年を超えて積み立てると1年につき70万円控除され、所得があれば2分の1だけが課税対象になり、他の所得とは合算しない分離課税の対象となります。運営管理機関(確定拠出年金の窓口となる金融機関等)によっては、一時金と年金を組み合わせて受取ができる場合もありますので、受け取り方をよく考えることが大切です。

運用益非課税の活用とライフプラン

 20歳になって国民年金に加入するか、20歳未満でも社会人になり厚生年金に加入すると確定拠出年金を始められます。70歳までに受け取りを開始する必要がありますが、年金での受け取りとすると受取期間も運用しているため、通常20年確定年金で受け取ることのできる運営管理機関が多いことを考えると、実質90歳近くまで非課税での運用が可能になります。このように非課税で長期の運用ができます。

 例えば非常に良好な投資環境が続き、100万円を30年間、毎年10%複利で運用できた場合、毎年課税されると1,006万円強(復興特別所得税考慮前)になりますが、非課税で運用すると1,749万円強になります。早い段階からiDeCoに資産を積み上げ、資金をしっかり準備し、運用に取り組むことで老後の生活に様々な選択肢をもたらす可能性があります。

デメリット、注意点

 60歳未満の引出しは原則できません。従ってご自分のライフプランを将来にわたって俯瞰し、iDeCoに積み立てる金額を決め、必要があれば年に一回の金額変更を検討し、不測の事態で資金不足に陥らないように注意が必要です。

 資産運用を行うときに、リスクの高い株式投信と比べ、債券投信はリスクが低くて安全という説明を耳にしますが、金利上昇局面では元本割れになりやすいことを忘れてはいけません。仮に、この20数年にわたる金利低下局面が終わり、長期的に金利上昇が続くような状況になってしまうと、債券投信の運用成績がかなりひどい状態になる事も考えておく必要があります。金利低下局面における債券価格上昇メリットを得られる局面は今後も何度もあるとは考えますが、場合によっては定期預金を活用するほうがリスクを抑えられる可能性もあります。バランス型投信のかわりに株式投信と定期預金に配分する方法も考えられます。

 FP相談を受ける際、59歳以下の方にはこの制度の説明を必ず行うようにしています。例えば住宅購入を考えている30歳のご夫婦のライフプランのご相談において、住宅ローンの返済、教育資金の準備と並行し、不足する老後資金をiDeCoで準備する方法をご案内しています。
 iDeCoはデメリットもありますが、所得控除や運用益非課税などの様々なメリットがあるので、ライフプランを考える際、利用を検討してはいかがでしょうか。

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