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2018年11月号(2)
資産運用
CFP®認定者 青野 泰弘

利用していますか?つみたてNISA

 みなさんは「つみたてNISA」をご存知でしょうか?2018年1月からスタートした制度で、これまでのNISA(少額投資非課税制度、「一般NISA」)と比較して、年間の投資枠は小さくなりますが、非課税期間が大幅に拡大されています。開始から約1年が経過したつみたてNISAですが、利用状況はどうなのでしょうか?また私たちの運用にどのように取り入れていったら良いでしょうか?金融庁の資料を参考にしながら、つみたてNISAの上手な活用方法を考えてみましょう。
 参考:金融庁NISA口座の利用状況調査

「つみたてNISA」制度の概要

 まずは制度についておさらいしてみましょう。
 「つみたてNISA」は、少額からの長期・積立・分散投資ができるように考えられた非課税制度で、2018年1月からスタートしています。対象商品は、手数料が低水準で、頻繁に分配金が支払われないなどの基準を満たした公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。これは米国の金融思想家である、バートン・マルキールとチャールズ・エリスが発表した、個人が投資で成功する秘訣に合わせたものです。この秘訣とは、コストの低いインデックスファンドで、ゆっくりと福利効果を生かしながら、一定額をコツコツとつみたてるというものです。従って、手数料の高いものや、複利の生かせない毎月分配型の投資信託などは排除されています。

 日本に住んでいる20歳以上の人なら誰でも利用できますが、その年1年間は一般NISAとつみたてNISAはどちらか一方しか選択できません(一般NISAとつみたてNISAを年ごとに入れ替えることは可能です)。また非課税投資枠は一般NISAが年間120万円に対して、つみたてNISAは40万円です。非課税期間に関しては、一般NISAが5年(非課税枠合計600万円)に対して、つみたてNISAは20年(非課税枠合計800万円)と非常に長くなっています。

つみたてNISAの現状

 次につみたてNISAの現状について見てみましょう。

 ①口座数の推移
 金融庁は毎四半期毎に、NISAの統計資料を発表しています。今回は10月に発表された6月末時点の数字を見てみましょう。本年1月からスタートしたつみたてNISAですが、6月末までに約69万の口座が開設されていて、総買付額は約305億円となっています。まだそれ程活用が進んでいないかなという数字ですね。それでは、どのような人が利用しているのでしょうか?
 金融庁の資料には年代別の口座開設状況も出ています。年代別に見ると20歳代が15%、30歳代が24%、40歳代が26%とこれらの年代で65%を占めています。一般NISAが20歳代から40歳代までが約30%しかないのに比べると、資産形成層と言われる若い世代がつみたてNISAを利用していることが読み取れます。

 ②積み立て金額
 それでは、つみたてNISAを利用している人は、一体幾らくらい積み立てをしているのでしょうか?正確な数字は発表されていませんが、金融庁がヒアリングベースで公表している資料があります。この資料では、1万円以下の金額が5割から6割占めている会社がある一方で、3万円超が4割以上を占めている会社もあります。ネット証券等では、積立額が100円からというところもあるので、比較的小さな金額で積み立てをしてる方も多いのではと推測されます。

つみたてNISAを選ぶ時のポイント

 ここまで、つみたてNISAの制度・概要についてみてきましたが、ここからは、つみたてNISAを選ぶ時のポイントについて考えてみましょう。

 ①どんな人が向いているのか
 まずは、どのような方がつみたてNISAを始めたら良いのでしょうか?新規の非課税枠が設定されるのは、2037年までで、そこから20年の非課税期間があります。従って、制度全体では、今から40年近く先まで非課税期間の恩恵が受けられることになります。人生100年時代とはいえ、その恩恵を最大限享受するためには、50歳より前の人が利用した方が良いといえます。

 ②積み立て金額を決める際のポイント
 次にどのくらいを毎月積み立てたら良いのでしょうか?つみたてNISAでは、非課税投資枠は年40万円と定まっている為、枠を全部使うつもりでも、月33,333円が限度です。従って、その範囲内で、無理のない金額を設定すればよいと思います。未使用枠を減らすには1000円単位もしくはそれ以下でも対応できる金融機関を使った方が賢い方法といえます。少額で設定ができるのは、ネット証券に多いといえます。

 ③積み立て頻度の選び方
 積み立て頻度も多くできた方がリスクの軽減になります。こちらも一部のネット証券では、毎日とか、毎週とか積み立ての頻度を選択することができます。例えば月に1回であれば、その月の高値で買ってしまうリスクもありますが、毎日購入できれば、価格も平準化されます。よりリスクの低減を考えるのなら、積み立て頻度が選択できる金融機関を選ぶのも、ポイントといえます。

 ④商品の選び方
 つみたてNISAを始めるとして、どのような商品を選んだらよいのでしょうか?つみたてNISAの口座を開く金融機関によって、商品のラインナップは若干異なります。大きく分けると、株価指数や債券指数などに直接連動するタイプと、それらの指数に分散して投資するタイプに分かれます。ただし、つみたてNISAに採用されている商品は、どれも長期分散投資に適した商品になっていますので、リスクの取れる方は株価指数や株式重視型を、リスクを少なくしたい方は、バランス型や債券重視型を選ばれてはいかがでしょうか。

最後に

 つみたてNISAは一度始めると20年間はその金融機関に非課税枠を持つことになります。折角の非課税のメリットがあるので、そのメリットは最大限生かしていきたいですね。若いうちからコツコツ貯める方にふさわしい商品設計になっていますので、資産形成世代と言われる20歳代から40歳代の方は、積極的に活用されてはいかがでしょうか。
 つみたてNISAを始める際には、今まで挙げてきたような、ポイントもしっかり考えて、預け先を検討してみてください。余裕資金の多い方は非課税枠の大きい一般NISAで運用をするなど、それぞれのライフステージに合わせて、賢く使い分けていきたいものですね。

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