繰上返済っていつどのくらい行うのがいい?

完済は夫が71歳のとき。
まだまだ残っている住宅ローンを
繰上返済で何とかしたい

悩んでいるのは住宅ローンです。
3年前、夫の親の土地に家を建てました。
30年返済で2600万円を借り入れたのですが、残高はまだ2400万円もあり、できれば繰上返済をしたいと考えています。
夫は、学習塾を経営していますが、少子化の影響もあり、今後、売り上げが大きく伸びることは期待できません。
またこれから、子ども2人の教育費がかかってきますし、貯蓄は教育費優先に考えるべきかという気もします。
繰上返済を行うなら、いつのタイミングでどの程度するのがいいでしようか?

繰上返済は計画的に
行ってこそ効果的

学習塾は経営してもう長いのですか?

10年になります。経営と言っても、主人の他は講師としてアルバイトの学生さんを常時2人雇っている程度で、中身は個人商店のようなもの。私も本当は外でパートをしたいのですが、経理とか、何かと塾の仕事を手伝わされるので、できないでいます

家計についてですが、もっと支出を抑えられる費目はありますか?

しいて言えば、夫のこづかいでしょうか。お酒は飲まないですし、タバコも吸いません。そもそも忙しくて使う暇はないですから。んっ? じゃあ、毎月3万円、何に使っているんだろう……?

もしかしたら貯めているかもしれませんよ(笑)。それと、教育費ですが、学資保険には加入されているのでしょうか?

長男は18歳のときに180万円、15歳のときに祝金20万円が受け取れます。次男は17歳満期で200万円の満期金が出ます

2人のお子さん、全員大学費用は負担したいとお考えですか? それとも奨学金の利用もあるでしょうか?

できるだけ負担はしたいと思っています。それに、学習塾をしている家の子どもなんですから、学費の安い国立大に入ってくれないと(笑)

なるほど(笑)。繰上返済は、住宅ローン負担を軽減する効果的な方法ですが、無計画にしてしまうと、必要な時期に手元資金がなくなるということも起こりえます。繰上返済の効果を十分に把握した上で、ライフプランに合わせて的確に行うことがポイントになるのです

相談者プロフィール

Y・Tさん

熊本県在住

性別
女性
年齢
40歳
職業
専業主婦

持ち家・一戸建て
家族は、夫44歳、長男14歳、次男10歳の4人家族
夫は自営業、長男は中学2年、次男は小学校3年

MONEY DATA

収入

  • 役員報酬(夫・手取り)37万5000円
  • 児童手当2万円

月額合計 39万5000円

月間支出

  • 住宅ローン9万円
  • 食費5万円
  • 水道光熱費2万円
  • 車両費(※1)8000円
  • 教育費2万円
  • 通信費(※2)9000円
  • 家族のこづかい3万7000円
  • 交際費・娯楽費1万円
  • 保険料3万6000円
  • 雑費1万5000円

合計29万5000円

  • ※1 駐車場代、ガソリン代、保険料など
  • ※2 携帯・スマホ代、プロバイダー料金、有料テレビ代など

貯蓄/運用

  • 通常貯金25万円(毎月1万~2万円預金)
  • 定額貯金 185万円(毎月2万円積立)
  • 定期預金110万円(毎月5万円積立)

合計 320万円

住宅ローンの内容

  • 建築費用2800万円
  • 借入額2600万円
  • 金利1.5%
    5年固定
    30年返済(完済71歳)
  • 毎月の返済額9万円

教育費を確保しつつ、早い時期に65歳まで短縮したい

繰上返済とは、毎月の返済とは別に一定額を返済する方法です。その返済はすべて元本のみに充てられるため(元金返済の前倒し)、その分の支払い利息が消え、総支払額を効率的に減らすことができるというわけです。
いつでも行うことは可能ですが、金融機関によって1回の最低返済額(1円~100万円)と手数料(無料~数万円)が異なるため、注意が必要です。

また、繰り上げ返済には、返済期間を短縮する「期間短縮型」と毎月の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2種類があります。ともに将来支払う利息の総額は減りますが、よりその効果が高いのは「期間短縮型」となります。

それらを踏まえた上で、Y・Tさんのケースを考えてみましょう。
自営業で定年がないとは言え、住宅ローンの支払いが71歳まで続くことにはリスクが高いでしょう。少なくとも65歳以下にはしたいところ。また現在、住宅ローンを支払いながら貯蓄もできているのですから、返済額を軽減する必要性はありません。となれば、選択すべきは「期間短縮型」となります。

一方、教育費ですが、学資保険の満期金とは別に、大学費用として少なくとも400万円は用意したい。現在、毎月2万円積み立てている定額貯金がありますが、これをそのまま教育資金用とすれば、足りる計算になります。
結果、繰上返済に回せるのは、年間にして約80万円の貯蓄分。それを3年後に計240万円、繰上返済した場合、返済期間は3年5ヵ月短縮され、利息軽減額は約180万円(※)。完済年齢を65歳以下に縮めるなら、さらに3年後に同程度の金額を行う必要があります。

ただし、これらはご主人の収入が一定であると想定しての試算です。収入減のリスクも考慮するならば、奥様がパート等で働き、定期的に収入を得ておくことが必要ではないでしょうか。公的年金が国民年金であること、リフォーム費用もいずれ発生することを考えれば、その必要性はさらに増すと言えます。

(※)金利は変わらないと想定しての試算。また繰上返済手数料も考慮していない。

FP相談を終えて。Y・Tさんの感想

65歳まで返済期間を縮めたいと思います

繰上返済1回で、そんなに利息が減るんですね。
同時に、効果的に行うにはそれなりの貯蓄が必要ということも十分わかりました。
返済期間を65歳以下に縮められるよう、まずは3年後の繰上返済を目指します。
同時に、本気でパート探すことと、あと、夫のこづかいの行方も確認しておきます(笑)。

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