FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2018年9月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 中島 智美

大学進学等教育費用の準備方法

 「子どもを大学まで行かせてあげたい」「お金がなくても子どもを進学させられるだろうか?」「奨学金を借りてまで進学させたほうがいいのか」
 文部科学省が実施した「平成27年度学校基本調査」※によると、高校卒業後、約8割の学生が大学や専門学校へ進学しています。しかし、大学や専門学校への進学から卒業までには数百万円の教育費がかかります。子どもが希望するのであれば、無理をしてでも進学させてあげたいと思うのが親心。そこで、今回は様々な教育費の準備方法や、負担が軽い進学方法をお伝えします。
 平成27年度学校基本調査〔確定値〕の公表について(文部科学省)

教育費の準備方法

 私立大学文系で年間約100万円(4年間約400万円)、理系では約150万円(4年間約600万円)。専門学校でも年間約100万円程度が必要になります。
 毎月貯蓄して準備する方法として、生まれてから月1万円ずつ18歳まで貯めていくと約200万円。児童手当を15年間積み立てても約180万円になるので、両方を合わせると私立大学文系の4年間の学費を賄えそうです。
 また、親子で学費を半分ずつ負担するとして、半分の200万円は子どもが奨学金等を利用する方法もあります。

日本学生支援機構の奨学金制度

 日本学生支援機構の第一種奨学金(無利息)で私立自宅通学の場合、月54,000円、4年間で259万円の奨学金を受けられます。
 第一種の申込みには、高校3年間の成績の平均値が3.5以上(住民税非課税世帯では学校長推薦があれば3.5以下でも申込みは可能)や、家計の基準があります。申込者全員が第一種奨学金を受けられるわけではありませんが、利息付きの第二種を同時に申込むことが可能です。第二種の場合の利率は固定方式で0.33%(2018年8月現在)、利率見直し方式で0.01%(上限3%)と低く設定されているので、多くの大学生が利用しています。
 奨学金は大学を卒業後返還する必要がありますが、259万円の奨学金(第一種)の場合で月14,400円を15年で返還する事になります。正規雇用で働くことができれば返還出来ない金額ではありませんし、第一種奨学金では所得に連動した返済も選択できるようになっていますので、最新の情報を確認してください。

給付型の奨学金や学費免除制度

 給付型は返還の必要がありません。日本学生支援機構では貸与の他、給付型の奨学金もあります。日本学生支援機構のHPでは給付型奨学金のある大学を検索でき、各大学のHPで詳細を調べられますので、入学前に条件を確認できます。英検などの資格取得者には初年度の授業料免除制度や、就職先の企業が奨学金の一部を肩代わりする制度など、様々な制度ができています。これらは年々変化していますので、情報収集がとても大切です。
 日本学生支援機構HP
 大学・地方公共団体等が行う奨学金制度(日本学生支援機構)

 親を病気や災害、自殺などで亡くした子や、親が著しい障害を負っている家庭の子は「あしなが育英会」の奨学金を受けることができます。今年度から奨学金の一部が給付型になり、返還の必要がなくなっています。利用できる可能性がある人はHPで詳細を確認してください。
 あしなが奨学金(あしなが育英会)

新聞配達をしながら進学する

 各新聞社に「新聞奨学生」という制度があります。学校の近くの新聞販売所に住み込みで働きながら大学や予備校、専門学校に通う方法です。新聞配達は決して楽な仕事ではなく、朝早くから、雨の日も、雪の日も配達をしなければいけませんが、毎月10万円程度のお給料をもらいながら、大学に納付する学費の最高520万円(各新聞社により金額は変わります)を新聞社が払ってくれる制度です。昼間の私立大学文系に借入を残さず、自力で通うことができます。朝刊の配達だけという新聞社もあります。これであれば午後の授業、サークル活動にも参加できます。
 大学が終わってからや、土日でアルバイトをすることを考えれば、朝の数時間の頑張りで学費が賄えることは、選択肢の一つとして良いと思いますが、途中で辞めた場合、大学に新聞社が納めた学費を一括で返済する必要があるので、実際に新聞配達をしている先輩等に聞いてみて、自分にできるかどうか見極める必要があります。

教育費の負担が少ない進学方法

 大学によっては夜学(第2部)があり、学費は昼間の約半分です。授業の内容は昼間と同じで、4年間で卒業することも可能です。日中働いて、夜大学に通うのであれば、借入をせずに大学卒業資格を取得することも可能です。他にも通信制の大学や、放送大学など、勉強する環境はいろいろあります。
 公務員になって給料をもらいながら大学に通うこともできます(防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安大学校、気象大学校)
 また、高校卒業後、一度社会に出て自分のやりたい分野を見つけ、お金を貯めて大学や専門学校等に入学する人もいます。本当に自分のやりたいことが18歳で見つかるとは限りません。今は様々な形で、何歳になっても勉強できる時代です。選択肢がいろいろある事を知っているだけでも可能性がぐんと広がります。

 日々の生活費が優先され、重要だと思っていても後回しにされがちな教育費用。子どもが「お金がないから進学をあきらめる」ということではなく、様々な情報を収集し、子どもと将来について話し合い、夢のある未来のために一緒に準備されることをお勧めします。

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