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2022年4月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 長谷川 浩一

NISA(一般NISA)を活用した積立投資とつみたてNISAの違い

 資産形成(資産運用)を考えるにあたって、まずはつみたてNISAを始めようとする方が多いように見受けられます。そこで、今回はあまり知られていないNISA(一般NISA)の積立投資の話をしたいと思います。

 

NISA(一般NISA)の制度

 まずはNISA(一般NISA)制度の概要をご説明します。

1.

NISA口座は1人1口座になりますので、つみたてNISAとNISA(一般NISA)の併用はできません。

2.

非課税投資枠が新規投資額で毎年120万円が上限(5年で最大600万円)になります。

3.

購入方式は、一括購入(スポット購入)、積立購入どちらでも可能です。

4.

非課税期間は、最長5年間(ロールオーバーは可能)です。

5.

投資対象商品は、上場株式、株式投資信託、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)などが対象です。

6.

非課税対象は、株式・投資信託等の投資から得られる配当金・分配金や譲渡益になります。

※2024年以降、NISA(一般NISA)は制度改正があります。
 積立投資=つみたてNISAと思っている方がいるかもしれませんが、上記3.からNISA(一般NISA)でも積立投資が可能なことがわかります。また、積立投資をしながら、途中で一括投資も可能です。そして、金融機関によって対応が異なりますが、NISA(一般NISA)では非課税投資限度額を超えた場合、一般口座もしくは特定口座での運用が可能になります。

投資信託の運用手法

 投資信託の運用手法には「インデックス運用」と「アクティブ運用」があります。
 インデックス運用とは、ベンチマーク(日経平均株価などの株価指数<市場平均>)に値動きが連動することを目標とした指数構成銘柄に投資をする運用手法になります。
 アクティブ運用とは、ベンチマークを上回ることを目標とした情報収集や企業分析を行って銘柄を選択する運用方法になります。そのため、運用を担当するファンドマネージャーや企業調査をするアナリスト等の多くの人が関わるので、運用コストはインデックス運用より高くなります。また、株価指数(市場平均)を上回ることを目標にしているので、積極的に運用し、結果、インデックス運用よりも大きなリターンが期待できると一般的にはいわれています。

NISA(一般NISA)とつみたてNISAの違い

 2つのNISAの一番の違いは、選択できる投資対象商品ではないでしょうか。
 つみたてNISAの場合、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなどの長期・積立・分散に適した投資信託で、金融庁に届け出をした公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)の208本に限られます。208本のうち、インデックスファンドは179本、アクティブファンドは22本になります。(金融庁より 2022年2月28日時点)
 一方でNISA(一般NISA)の場合は、各金融機関でNISA(一般NISA)として取扱う投資信託は異なりますが、株式投資信託、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など非常に多くの幅広い投資信託からの選択が可能になります。

まとめ

 NISA(一般NISA)で積立投資を始める場合、つみたてNISAよりも高い金額を設定できますが、非課税期間は短くなります。しかし、大きなリターンが期待できるといわれる多くのアクティブファンドの選択が可能になります。そして、つみたてNISAではできない一括投資が可能になります。
 以上のようにNISA(一般NISA)を活用した積立投資とつみたてNISAには違いがあります。どの制度を利用するかは、ご自身の投資をする目的、期間、金額、投資対象商品から判断することが大切です。

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