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相続開始から遺産分割まで
「人生100年時代」へと移行しつつありますが、万が一の事がいつ訪れるかは誰にも分かりません。そこで相続開始から遺産分割協議書を作成するまでの流れを簡単にご紹介いたします。
① 被相続人が死亡(相続開始)
② 相続人と相続財産を調べる
③ 遺言書の有無と遺産分割協議
④ 遺産分割協議書を作成する
被相続人が死亡(相続開始)①
相続開始日は「被相続人が死亡した日」です。具体的には「死亡診断書」や「死体検案書」に書かれた「死亡日」が相続開始日になります。役所へ死亡届を提出すると被相続人の戸籍(除籍)に「死亡日(相続開始日)」が記載されます。
相続人と相続財産を調べる②
相続人は、配偶者や子供など被相続人と一定の身分関係にある人(法定相続人)となります。調べる方法は被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本が必要になります。
相続財産は、現金や預貯金・有価証券、土地・建物などのプラスの財産だけでなく、ローンや未払金・保証債務等のマイナスの財産も相続されます。
遺言書の有無と遺産分割協議③
遺言書がある場合は遺言が優先しますが、遺言書がない場合や、遺言があっても相続人全員の合意がある場合は協議分割が優先します。相続人は、遺産をどのように配分するかを話し合い、遺産分割協議書を作成しなければなりません。協議が成立すれば遺産分割協議書を作成します。協議が調わない場合は、家庭裁判所において調停分割・審判分割による分割が試みられます。
遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。「公正証書遺言」「秘密証書遺言」については公証役場に問い合わせをすれば確認出来ます。「自筆証書遺言」は、すべて家庭裁判所の「検認」という手続の中で開封して中身を確認しなければなりません。手続き前に開封すると5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
遺産分割協議書を作成する④
遺産分割協議で合意した内容を明らかにする書面を遺産分割協議書といいます。法定相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と相続の割合を決めていきます。誰がどの財産を相続するかを詳細に記した書面に「法定相続人全員」による署名押印が必要で「実印」を押印、印鑑証明書を添付し、相続人全員が同じ物を1通ずつ所持します。
相続のために遺産分割協議書が必要になる提出先は、金融機関・法務局・運輸支局・税務署等です。
まとめ
相続開始から遺産分割まで解説してきましたが、それぞれに詳細な条件や提出期限等があります。被相続人が築き上げた大切な財産です。被相続人の気持ちを尊重し相続が争続にならないよう、残された相続人にとって「最良の選択は何か」を話し合うことが大切です。
相続は法律や税金に関わる難しい面も多いことから、相続に詳しいFPに相談するなどし、弁護士等の専門家を交えて準備することをお勧めします。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。