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生命保険を複数社にわたり契約するケースの注意点
1996年に改正された保険業法により、保険商品や募集チャネルが多様化されました。インターネットでの契約手続きが可能な生命保険会社や、複数社を取り扱う代理店の来店型ショップも増え、また、消費者もインターネット等を通じて情報を得られるようになりました。それまでは営業職員による営業がメインだったため、1~2社に集中して加入することが多かったですが、現在は自身の希望に合った商品をチョイスし複数社にわたって契約するケースが増えています。今回は複数社にわたる契約で注意する点を確認します。
請求は保険会社ごとに必要
給付金や保険金の請求手続きにおいて、前提として、各社それぞれに請求手続きをする必要があり、また、請求に必要な書類の取得にかかる費用は、請求者が負担する必要があります。
入院給付金や手術給付金等の請求は各社簡易化されています。以前は、各保険会社のフォーマットの診断書を医療機関に作成してもらう必要があり、手数料として1通あたり5,000円~8,000円程度負担する必要がありました。現在は、必要事項を網羅していれば他社のフォーマットの診断書のコピーで流用が可能なケースや、退院時に受け取る退院証明書や領収証、診療明細書のコピーで代用が可能なケースもあります。また、手続きも請求書の郵送提出だけではなく、オンライン上での請求手続きも可能となり、請求手続きの負担が減ってきました。とはいえ、複数社にわたる場合にはそれぞれ給付請求を行う必要があり、必要書類は各社さまざまなため、それぞれ確認し、保険会社ごとに書類の提出が必要となります。
戸籍謄本や印鑑証明書などは基本的に原本の提出が必要
死亡保険金の請求の際、保険会社によっては保険金受取人の印鑑証明書や住民票、戸籍謄本の提出が必要となります。提出は基本的に原本となるため、保険金請求を行う保険会社の数だけ原本を用意する必要があり、費用負担が増えます。
特に注意が必要なのが、入院給付金の請求をご自身で行う前に亡くなるケースで、この場合には法定相続人が代わりに請求手続きを行うこととなります。その際に、法定相続人の確認のため保険会社によっては、亡くなった被保険者の出生から死亡時までの戸籍謄本が必要になることがあります。この戸籍謄本の提出も基本的に原本である必要があるため、複数社に契約があるとその会社の数だけ用意が必要となります。
また、保険金受取人がすでにお亡くなりになっていても、新たな保険金受取人を設定せずにそのままにしているケースも同様で、亡くなった保険金受取人の法定相続人が手続きを行う必要があるため、戸籍謄本等の取り寄せやそのための費用が発生します。
まとめ
元気な際には苦でないことも、入院や手術等で心身共に負担が増えている中での請求手続きは過酷となることもあります。加入する際は、保障内容や保険料などは吟味しますが、給付金や保険金の支払いの際の手続きまで気にされている方は少ないのが現状です。加入する際には一つの窓口で手続きが行えたとしても、請求の際には各社それぞれ手続きが必要となるということを忘れがちです。
保険の契約についてご自身が把握するのはもちろんのこと、あらかじめご家族に共有し把握してもらう必要もあります。保険金受取人は随時確認し、必要であれば変更をしておく等、メンテナンスも忘れずに。ご健在な時にご家族のためにも今一度加入の契約について確認し、まとめておくとよいでしょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。