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2022年9月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 吉田 亜紀子

ねんきん定期便、チェックしていますか?

 日本年金機構より年に一度送付される「ねんきん定期便」には、公的年金の加入状況など大切な情報が記載されています。今回のFPコラムでは、ねんきん定期便を確認する際のポイントや見方について解説していきます。

ねんきん定期便とは

 加入者の年金記録(加入状況)などが記載された通知物で、誕生月(1日生まれの方は誕生月の前月)に手元に届きます。35歳・45歳・59歳の節目の年齢は「封書」で、そのほかの年齢では「はがき」での送付となります。50歳未満と50歳以上で、また、節目の年で記載内容が異なるのが特徴です。

ねんきん定期便でわかること

節目の年齢以外は、直近1年間の情報の記載があり、50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」を、50歳以上は「年金見込額」を確認できます。また、節目の年齢では全期間の年金記録情報をもとに、35歳・45歳は「これまでの加入実績に応じた年金額」が、59歳は「年金見込額」が記載された内容となります。
なお、はがき形式のねんきん定期便は、圧着式で表面、裏面ともに情報が記載されていますので、全てをはがして、両面の内容を確認するようにしましょう。

ねんきん定期便で確認するポイント

以下の3点から年金加入記録が正しく記載されているか確認します。
1.国民年金(第1号・第3号)納付状況
2.これまでの保険料納付額(累計額)
3.これまでの年金加入期間
 老齢基礎年金を受けるためには、現在は原則として、保険料を納めた期間と免除された期間を合算して10年(120月)の「年金加入期間」が必要です。中でも、転職したときの厚生年金保険適用事業所の切り替えでの納付漏れや会社員から自営業者になった方、その逆のケース、専業主婦(主夫)になった場合など被保険者区分が変わる際の国民年金と厚生年金の切り替え時期は特に確認が必要です。
 確認した年金記録情報に漏れや誤りがある場合には、日本年金機構HPから「年金加入記録回答票」をダウンロードし、必要事項を記入のうえ年金事務所に提出しましょう。

50歳以上の方は年金の受取時期を考え始めましょう

 「老齢年金の見込額」として現在の加入状況が継続した場合の年金見込額が、60歳・70歳・75歳に分けて記載されています。受け取る年齢を遅らせる「繰り下げ受給」を選択した場合に年金がどの程度増加するのか参考にできます。加えて、60歳以降の厚生年金加入や国民年金の任意加入の選択により老齢年金額を増加させることも可能です。
 また、60歳以上65歳未満の方には、ねんきん定期便作成時点の年金加入実績に応じた65歳からの受取見込額が、65歳以上の方には、65歳時点の年金加入実績で計算した受取見込額が記載されています。
 なお、年金を受給しながら働いている被保険者にも、ねんきん定期便は送付されます。すでに受給している年金額については年金振込通知書で、これまでの保険料納付額や年金加入期間等は、ねんきん定期便にて確認できます。

まとめ

 年金制度は、社会や経済情勢の変化などに応じて今後も改正が行われることが十分に考えられ、将来的に受け取れる年金額を現時点で正確に把握することはできませんが、50歳未満の方はそれまでの年金制度への加入状況を把握する目的で、50歳以上の方は受取見込額の参考にするために毎年ねんきん定期便を確認しましょう。誕生月に届くねんきん定期便を確認することは、将来の人生設計を見直すよい機会となります。

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