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対象世帯や支給額は? 高校等教育費無償化制度とは
「高校無償化」という言葉をよく聞くようになりました。高校無償化に関しては、国の支援制度である「高校等教育費無償化制度」があります。そこで今回は、高校等教育費無償化制度の内容と利用するために知っておきたい受給資格や支給額、その他の支援制度について解説します。
高校等教育費無償化制度とは
正式名称は「高等学校等就学支援金制度」で、国公私立問わず、高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯(年収約910万円未満)の生徒に対して、国から「高等学校等就学支援金」が支給されます。全国の約8割の生徒が利用している、国が行う授業料支援の仕組みです。
受給資格
受給資格は、高校等(高専、高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を要する方が対象となります。ただし、次のいずれかに該当する方は対象となりません。
・保護者等の道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額が、50万7,000円以上の方(年収目安約910万円以上の方)
・高校等(修業年限が3年未満のものを除く)を卒業又は修了した方
・高校等に在学した期間が通算して36月(定時制・通信制等の場合は別途算定)を超えた方
支給額と所得要件
支給額については、公立高校に通う生徒は、年額11万8,800円を限度として支給されます。これは、国公立高校の授業料と同額のため、実質、授業料は掛からないことになります。私立学校に通う生徒の場合、世帯の所得に応じて支給額が2つに区分され、世帯年収が約910万円未満の場合は年額11万8,800円、世帯年収が約590万円未満の場合は年間39万6,000円を上限に支給されます。
所得要件については、年収ではなく所得で判断します。共働きか否か、子どもの年齢や人数によっても年収の目安は変わることから、自分自身の世帯が要件に当てはまるかどうかの確認が重要になります。特に共働き世帯の場合、どちらか高い方の年収で判断されるのではなく、2人の所得を合計した金額で判断されるのが特徴です。詳しくは、文部科学省のHPをご確認ください。
その他の支援制度
国が行う授業料支援の仕組みとしては、高等学校等就学支援金のほか、高校生等奨学給付金、その他の修学支援策として家計急変への支援、学び直しへの支援、各都道府県が独自に実施する高等学校等奨学金などがあります。
高校生等奨学給付金は、全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等)負担を軽減するため、高校生等がいる低所得世帯を対象に支援を行う制度です。
まとめ
高校無償化によって教育費負担が軽減され、選択肢が広がることは大変喜ばしいことです。一方で、高等学校等就学支援金制度で国公立高校の授業料が実質0円となったとしても、授業料以外に掛かる費用があります。さらに、高校卒業後には大学進学を希望している家庭も多いです。
教育費の負担は家計の不安の1つです。国や各都道府県の制度を有効活用しながら、教育費の準備を計画的に行っていくことをお勧めします。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。