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相続税の申告は必要なの!?申告要否判定は国税庁HPを活用しよう!
相続が発生したときに、相続税の申告が必要なのかどうか、よくわからない方は多いのではないでしょうか。相続税の計算方法が難しいと感じている方も多いようです。そこで、今回は国税庁のHP「相続税の申告要否判定コーナー」を活用した相続税の申告要否について判定方法を解説します。
相続税の申告が必要になる場合
まず、相続税がかかる財産とは、原則として、相続や遺贈によって取得した財産のことです。このほか、以下の財産についても相続税がかかります。
相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産(3.の財産を除きます)
相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産
生前の被相続人から相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産
上記の各財産について踏まえつつ、原則として、被相続人(亡くなられた方)から相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与等によって財産を取得した人の「各人の課税価格の合計額(相続財産等の合計額)」が、「遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を超える場合に、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。なお、遺産に係る基礎控除額を超えない場合でも、遺産分割の内容によっては相続税の申告が必要となる場合がありますのでご注意ください。
「相続税の申告要否判定コーナー」の活用方法
計算式をはじめ複雑に感じる方が多い相続税の申告要否ですが、国税庁のHPに掲載の申告要否の判定フォーム(相続税の申告要否判定コーナー)を活用することで、相続税を申告する必要があるかどうかを簡易的に知ることができます。なお、正確な申告要否は税務署等にご確認ください。
判定フォームに入力が必要な情報としては、以下のものがあります。
ステップ1:法定相続人の数の入力
①配偶者の有無
②子供の有無
③父母の有無(②が無の場合)
④兄弟姉妹の有無(③が無の場合)
ステップ2:相続財産等の入力
①相続財産の入力
土地や建物、株や投資信託などの有価証券、現預金などの財産や債務・葬式費用、相続時精算課税適用財産などの金額を入力します。
②債務・葬式費用の入力
③相続開始前3年以内の贈与財産の入力
④教育資金・結婚子育て資金の一括贈与に係る非課税の管理残額の入力
以上のように、法定相続人の数及び相続財産等を事前に把握しておくことにより、簡易的な申告要否判定が可能になります。法定相続人とは、民法に規定された相続人のことで、死亡した人の配偶者は常に相続人となりますが、配偶者以外の人は以下の順位に基づいて法定相続人となります。そのため、第2順位及び第3順位の人は、上位者がいない場合に限り法定相続人となります。
相続順位 | 法定相続人 |
第1順位 | 死亡した人の子ども(直系卑属) |
第2順位 | 死亡した人の父母や祖父母など(直系尊属) |
第3順位 | 死亡した人の兄弟姉妹 |
なお、法定相続人とは、死亡した人の財産に対する相続権の一切を放棄した人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人をいいます。
まとめ
ここまで国税庁のHPに掲載の判定フォームを活用しながら、相続税の申告要否について判定方法を解説しました。相続税の申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10カ月目の日となります。相続が発生した際には、相続税の申告のほか、必要に応じて遺族年金・未支給年金の請求や健康保険の手続など行うことが数多く、10カ月は長いようで意外と短いです。今回ご紹介した判定フォームをツールの1つとして活用したり、税務署等に相談するなどして日頃から将来を見据えて相続に意識を向けておくことが大切ではないでしょうか。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。