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お金の預け方の基本
2023年度税制改正大綱で、NISA制度が抜本的に拡充され、制度が恒久化することが盛り込まれました。「貯蓄」をしたらいいのか「投資」をしたらいいのか、金融商品にも様々なものがあり迷うところですが、お金を預ける際は、その預けるお金の性格や目的によって、預け先や預ける商品を考えることも必要になります。そこで今回は、お金の預け方について今一度確認をしてみましょう。
お金の使い道で分ける
目の前に現金が10万円あったとします。誰が見ても10万円は10万円ですが、その使い道は、①生活費やいざという時に使うお金なのか、②近い将来に使うお金なのか、③将来まで使わないお金や余裕のあるお金なのか、に分けられます。①のためのお金であれば、必要な時にすぐ引き出せなければならないので、普通預金のような流動性の高い商品に預けることが基本です。次に、②のようなお金であれば、その近い将来、使う時に必要な金額が用意されていないといけないので、定期預金や個人向け国債などの元本が保証されているか、価額の振れ幅がごく小さい商品に預けることになります。そして、①や②でない、将来まで使う予定がなかったり、使い道のない余裕のあるお金が、収益性のある(価額の振れ幅も比較的大きい)商品に預けてもいいお金ということになります。
今は、「超」が付くような低金利で、預けても付く利息金額はごく僅かという商品もある状況ですが、この原則は変わりません。
商品別・時期別の代表的な金融商品(例)
使う目的・時期 | 日常の生活費や病気・ケガなど、いざという時に使うお金 | 旅行・レジャーや自宅のリフォームなど少し先に使うお金 | 当面は使う予定のないお金、余裕のあるお金 |
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金融商品の性格 | 流動性の高い商品 | 安全性の高い商品 | 収益性の高い (リスクも大きい)商品 |
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金融商品の例 | 普通預金、通常貯金、 MRF(マネー・リザーブ・ファンド)など |
普通預金、定期預金、 定額貯金、個人向け国債など |
投資信託、株式、 外貨預金など |
代表的な 商品の特徴 |
〇普通預金、通常貯金 出し入れ自由で財布代わりに利用できる。 〇MRF 証券総合口座用の投資信託で、元本保証はないが、元本割れの可能性は小さい。 |
〇普通預金、通常貯金 一定期間払戻しをしないことを条件に、普通預金などよりも金利は高め。 〇個人向け国債 個人のみが買える国債で、1万円から購入可能。原則、元本割れしない。 |
〇投資信託 投資家から集めたお金を専門家が株式や債券で運用する。1万円程度から投資できる。 〇株式 個市場から株式を購入して配当や売買益を得る。 〇外貨預金 ドル、ユーロなど外貨建ての預金。為替相場の動向次第では元本割れあり。 |
日本FP協会「今からはじめるリタイアメントプランニング」を参考に作成
手持ち資金の中でバランスをとる
お金の使い道で分けるとともに、持っている金融資産の中でそのお金の占める割合によっても預け方は変わります。同じ100万円の現金を預ける場合でも、持っている金融資産が100万円でこのお金が全てという方と、金融資産を1億円持っている方の100万円では、同じ100万円でもその人にとっての重みは違います。値動きのある商品に預けて100万円が90万円になった時の金融資産全体に対して及ぶ影響は、後者より前者の方が大きいため、前者の場合は元本保証かそれに近い商品に預けることが好ましく、後者の場合は値動きの幅が大きい商品に預けてもいいことになります。値動きのある商品とない商品と、自分の取れるリスク許容度に応じて、所有する金融資産全体の中でバランスをとって預けることが大切です。
まとめ
近年は、今まで貯蓄していたお金を投資に回し、それを運用していくことで安定的に資産形成を図っていくための制度・環境が整備されてきています。人生100年時代の長い老後生活において、自分の思い描くような生活を営んでいくためには十分な資金も必要です。しかし、お金を殖やすにはそれ相応のリスクも伴います。思い描いた生活を営んでいくために、自分はいくら必要なのか、不足しているとするといくらくらい不足していて、それをどうやって用意していけばよいのか。それを把握したうえで、殖やすために必要なリスクを取り、そのために適切な商品を選択していくことが大切です。まずはご自身の金融資産の中身を洗い出し、それに適った預け方をしているか点検をしてみましょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。