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大学進学にかかるお金とタイミング
子育てにはいろいろとお金がかかります。その中でも特に大きなお金「大学進学資金」は、簡単に用意できる金額ではないため、早めに資金計画を立てることが大切です。どのくらいのお金をいつまでに準備すればよいのか、目安や注意点についてお伝えします。
国公立大学及び私立大学に関わる教育費の金額
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果(令和3年度)」によると、子ども1人あたりの「大学入学費用」は国公立67.2万円、私立文系81.8万円、私立理系88.8万円です。これらの金額は、受験費用や入学しなかった大学への納付金、入学する大学への入学金、寄付金などの合計額です。
また、「大学在学費用」は4年間合計で国公立414万円、私立文系608万円、私立理系732.8万円と、授業料以外にも大学の施設設備費や通学定期代、教科書代などにお金がかかります。特に私立大学については、理系に進学した場合、4年間で文系の約1.2倍の在学費用が必要です。
ここまでご紹介した金額は上記調査の結果であり、私立大学の場合、大学により授業料等の金額に幅があります。進学予定先の大学HPで実際にかかる金額を確認してみましょう。
入学者選抜の方法で入学金などの支払う時期が異なる
文部科学省が公表した「令和4年度国公私立大学入学者選抜実施状況」によると、大学の入学者数は国立大学9.8万人、公立大学3.4万人、私立大学49.7万人で、合計62.9万人となっており、大学生の約8割は私立大学に入学しています。
大学の入学者選抜方法は主に「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3つあり、最近は「学校推薦型選抜」の割合が増え、国立大学1.1万人、公立大学0.9万人、私立大学20.7万人で、合計22.7万人となっています。大学入学者の約36%、おおよそ3人に1人は学校推薦で入学が決まります。
ここで気を付けなくてはならないことは、学校推薦の合格時期は「一般選抜」よりもかなり早いことです。国公立大学は高校3年生の12月頃、私立大学が11月から12月頃で、合格するとすぐに入学手続きが行われることから、入学金などは合格した年内に必要となります。そのため、大学進学資金は余裕をもって高校3年生の秋までに準備しておきましょう。
大学の進学費用は上昇傾向にある
今時点でも大きなお金と言われている大学進学資金ですが、その金額は上昇する傾向にあります。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、2021年の国立大学授業料は年間53.6万円、私立大学は平均で年間93.1万円と、30年前(1992年)に比べて国立・私立ともに約1.4倍となっています。特に近年、私立大学の授業料が大きく増えており、10年前(2011年)と比較すると年間で7.3万円、4年間で約30万円も上昇しています。今後も増える可能性がありますので、無理のない範囲でゆとりをもって準備しておくとよいでしょう。
まとめ
子供の教育資金は「人生3大資金」の1つとも言われるほど、大きなお金が必要です。一方、「支出する時期が決まっている」資金でもあるため、そのときになって慌てないように、大学進学資金は子供の誕生とともに計画的に貯蓄しておきましょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。