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事前に対策!親と子の相続トラブル
相続の話をすると「うちは仲がいいから大丈夫」「財産が少ないから揉めない」と思っている方もいますが、財産の多寡によらず、親子間、相続人の間ではさまざまなトラブルが起こっています。どのようなことがトラブルに繋がってしまうのか、事例とその対策をお伝えいたします。
被相続人(親)の情報共有不足
生前に相続について話し合いたかったが、親が財産を教えてくれなかった、亡くなった後に遺言書など相続に関する意思表示が残されてなく困った、相続手続中に知らない相続人がいたことが分かったというケースがあります。
親としては、十分な財産を残している、いずれ話すつもりだったかもしれませんが、子どもからすると相続に関する手続きや相続税のこと、将来の生活など気がかりです。親が認知症になったり、遺言書などがないまま亡くなってしまうと、親の意思が確認できず遺された子どもは大変な思いをします。
遺言書で意思表示をしっかりと行うこともひとつの手段ですが、自分の考えや希望などをエンディングノートにまとめておくのもおすすめです。エンディングノートに書く内容は自由で、自身の財産や医療・介護の希望、オンライン口座のパスワードなど必要な情報を記載することで、死後のことだけでなく、突然の入院などで家族に頼みたいときにも便利です。
家族関係が悪い
家族関係が悪く相続人の間で相続財産に不平等があったり、法定相続人以外の親族が介入したりすると揉めやすくなります。いずれの場合も、財産を残す人が、相続人たちへの配慮もしながら、自分の思いを理由も含めきちんと伝えることが大事です。
また、財産を相続する子どもの側としては、親の財産は親のものであり不必要に口出しすべきものではないことも理解しておく必要があります。
相続をためらう財産がある
親と離れて暮らしているため、空き家となった実家などの不動産を相続しても困るというケースが増えています。さらに、相続税が発生する場合、相続税は現金で納めなくてはいけませんので、すぐに現金化できない資産を相続してしまうと相続人の負担になってしまう可能性もあります。不動産は売却できるまでに時間がかかる場合もありますので、手放してもいい不動産は早めに対策を検討しておきましょう。
また、お墓の管理も同様で、離れて暮らしている場合、墓じまい・改葬なども家族で話し合いましょう。
親が事業を営んでいた
親が事業を営んでいた場合、事業を継承するか廃業するかも検討事項の1つとなります。
事業を継承する場合、事業用資産をまとめて事業を継承する相続人が引き継ぐのが望ましいですが、事業用資産と個人の資産を分けるのが難しく、遺産分割協議が長引くこともあります。万一に備えて、事業自体とその財産を誰に引き継ぐのか意思を書き留めたり、生前贈与による継承も検討しておきましょう。
まとめ
ほとんどのケースは日頃の家族間のコミュニケーションで解決できます。帰省の時などを利用し、「知人が相続で揉めていた」、「エンディングノートを書く人が増えてるみたい」といったきっかけを作って、親が元気なうちに話し合いの機会を作ってみましょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。