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遺言によって財産を譲与する遺贈とは
自分の財産をどのように残し、誰に引き継ぐのか。大規模な自然災害やコロナ禍による価値観の変化などから、法定相続人が存在しない「おひとりさま」を中心に、誰もができる人生最後の社会貢献として自分の財産を遺贈する人が増えています。今回は、終活で注目されている遺贈の概要や注意点についてご紹介します。
遺贈とは
遺贈は、故人の残した遺言によってその財産の全部または一部を無償で与えることを指します。遺言によって財産を与える人を「遺贈者」といい、その財産を受け取る人を「受遺者」といいます。また、受遺者は法定相続人である必要はなく、個人や法人・団体でも構いません。相続では、遺言書を作成しなくても財産は法定相続人に引き継がれますが、遺贈では遺言書を作成しなければ財産を与えることはできません。
遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。特定遺贈は、特定の財産を指定して遺贈する方法であり、特定の財産と遺贈先を遺言書に記載します。包括遺贈は、相続財産の全部または一部の割合を指定して受遺者に遺贈する方法で、相続財産に対する割合と遺贈先を遺言書に記載します。
遺贈の注意点
遺贈は、法定相続人以外を受遺者とする場合が多いため、遺留分を侵害しないよう配慮する必要があります。
また、遺贈には相続税が課税される場合があります。受遺者が、法定相続人以外の場合は、その人が納める相続税額に2割加算された税額が適用されます。受遺者や遺贈する財産、遺贈方法によって適用される税金が異なるため注意が必要です。
あくまで、遺贈は遺贈者の意思表示であり、受遺者は財産を受け取りたくない場合には、遺贈を放棄することができます。放棄の手続きは、特定遺贈の場合は期限がなく、法定相続人や遺言執行者に意思表示をするだけとなりますが、包括遺贈では、自分に遺贈されることを知った日から3カ月以内に遺贈者が亡くなった住所地の管轄家庭裁判所にて手続きが必要となります。
まとめ
遺贈は、個人だけでなく法人・団体にも財産を譲ることができるため、社会貢献にもつながります。
また、遺贈を通じて、孫や兄弟姉妹、生前にお世話になった人など本当に財産を残したい相手を指定することができます。一方で、法定相続人以外に財産を譲る場合は、トラブルを回避するためにも、遺贈について正しく理解したうえで行うことが大切です。法律や税金に関する知識が必要であり、専門家の助言を受けることが重要です。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。