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2024年9月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 山本 敦
住宅リフォームのタイミングとポイント~人生100年時代に向けて~
住宅取得は、人生における大きなライフイベントの1つですが、その実現が必ずしもゴールではありません。住宅取得後の経年劣化による修繕や家族構成、ライフスタイルの変化などによる見直しが必要になります。例えば、「建て替え」や「住み替え」「リフォーム」などがありますが、せっかく手に入れた愛着のあるマイホームに長く住み続けたいと考える人も多いと思います。そこで、今回は「住宅リフォーム」について解説します。
住宅リフォームのタイミング
日本では、中古住宅より新築住宅に住みたいという志向が強く、住宅の平均利用期間は30年程度ですが、実際に居住できる期間は、木造住宅で約65年ともいわれており、適切なメンテナンスにより長期間快適に暮らすことが可能です。人生100年時代といわれる現代において、リフォームは「建て替え」や「住み替え」と比べると費用を抑えることができるため、有効な方法の1つです。
ここでは、築年数の経過に伴うメンテナンスの観点から、住宅リフォームのタイミングを例示します。
築年数 | リフォーム検討箇所(例:戸建て住宅) |
5年以降 | 床下の防腐・シロアリ防蟻処理など |
10年以降 | キッチン・風呂・洗面所・トイレ等の水回り、壁紙、フローリング、畳外壁、屋根など |
15年以降 | システムキッチン、ユニットバス交換など |
20年以降 | 家全体に及ぶ大掛かりなリフォーム、増改築 |
リフォームの適切なタイミングを見極めるためには、自身で「日常点検」を行うことが大切です。また一定期間ごとに、専門家に住宅の点検を依頼するなどして、長く住めるようにメンテナンスをしましょう。
住宅リフォームのポイント
築年数の経過に伴うメンテナンスのほかに、目的別にリフォームを検討します。(1) ライフスタイルに合わせる
子ども部屋を増築したり、使わない部屋を撤去して趣味のスペースを作るなど、家族構成等の変化に合わせて増改築や減築を行い、ライフスタイルに合わせた住環境の整備を行います。(2) 性能向上
窓や床、壁、天井などの断熱工事や太陽光発電の設置工事などにより、省エネ機能を高め、高断熱・高気密化・高効率化を実現し、暑さや寒さを軽減できる快適で健康的な空間を作ります。また、リタイア後の備えとして、段差の解消や手すりの取り付けなどのバリアフリー化を進めることで、長期間安心して暮らせます。さらに、大地震から命を守り、被害を最小限に抑えるため耐震化のリフォームも重要です。
(3) マンションリフォーム
分譲マンション(区分所有建物)は、個々の住戸内部である「専有部分」と、エレベーターやエントランスなど、住人全員が共同で利用する「共用部分」に分かれており、リフォーム可能なのは、専有部分のみとなります。また、リフォームを行う際は、管理規約に沿った基本的なルールを守る必要がありますので、事前に管理組合に確認しましょう。なお、リフォームには相応の資金も必要となりますので、今後のライフプランを踏まえ、優先順位を明確にしながら計画を検討しましょう。
リフォームにかかる支援制度
リフォームには、国や地方公共団体で行う様々な支援制度があります。(1) 減税制度
耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応を目的として一定の要件を満たすリフォームを実施した場合、所得税の税額控除や固定資産税の減額措置があります。(2) 補助制度
若者夫婦世帯・子育て世帯を対象とした補助制度や既存住宅の長寿命化、省エネ性能向上のための改修に対する一部費用の補助や、要支援および要介護認定を受けた人の一定の住宅改修に対する支給など、様々な制度が準備されています。なお、各支援制度は、適用条件や申請期限、必要書類等が定められていますので、詳細については、国土交通省のホームページや税務署、お住まいの市区町村でご確認ください。
まとめ
リフォームについては「必要になったら検討しよう」とお考えの人も多いのではないでしょうか。一方、工事の内容によっては、想定以上に費用を要する場合があります。事前のプランニングや情報収集を行い、減税制度や補助制度なども有効に利用しましょう。なお、リフォームプランの検討は、将来に向けて子どもの成長やリタイア後の生活などを家族で一緒に考える良い機会になると思います。ライフスタイルの変化を視野に入れ、ライフプランに組み込みながら事前に準備することをお勧めします。- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
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