FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2019年9月号(1)
税制・相続・贈与
CFP®認定者 前田 菜緒

ついに消費税10%!住宅・自動車への影響は?軽減税率って何?

 間近に迫った消費税増税。連日のように様々なメディアで取り上げられていますが、情報が多すぎてよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。それもそのはず、軽減税率だけでなく、住宅や自動車にも新たな制度が追加される予定となっています。
 日々の生活とは切っても切れない消費税。10月1日を迎える前に、今一度整理しておきましょう。

住宅関連の税制改正

 住宅は人生の中でとても高い買い物です。消費税増税に合わせて国が行う様々なサポートがあります。

■住宅ローン控除
 消費税率10%が適用される住宅を取得して、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合は、住宅ローン控除の期間が10年から13年に延長されます。
 国土交通省 住宅ローン減税

■すまい給付金
 消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するための制度です。消費税率10%が適用される住宅を取得した場合は、最大50万円が給付されます。対象者は収入額の目安が775万円以下の方です。給付額は収入と不動産の持ち分割合によって決まります。
 国土交通省 すまい給付金

■次世代住宅ポイント制度
 2019年10月以降引き渡しをする一定の性能がある住宅を取得、または、リフォームをすると、さまざまな商品と交換ができるポイントが発行されます。対象となる住宅は、エコ住宅やバリアフリー住宅などで、リフォームにおいては断熱改修や耐震改修が対象です。ポイントで交換できる商品は、家電や食料品、家具、子どものおもちゃなど多岐に渡ります。

自動車関連の税制改正

 自動車の購入時には、消費税以外に自動車取得税がかかります。また、毎年4月1日時点で自動車を所有している方には自動車税(軽自動車所有者には軽自動車税)が課税されています。
 2019年10月1日以降これらの税制も刷新されます。

■自動車取得税
 自動車取得税は廃止され、購入年の自動車税及び軽自動車税において「環境性能割」が導入されます。環境性能割は環境負荷の小さい自動車ほど税率が低く、燃費によって税率が異なります。なお、2020年9月30日までは税率がさらに1%軽減されます。

■自動車税
 10月1日以降に購入した新車の自動車税(種別割)は、排気量に応じて最大4,500円引き下げられます。排気量が小さい自動車ほど引き下げ額は大きくなっています。なお、軽自動車税(種別割)の税率に変更はありません。

軽減税率制度

 軽減税率制度とは、消費税率が10%に引き上げられても、一部品目については8%に据え置く制度です。

 海外でも導入されており、フランスでは軽減税率にランクがあります。たとえば、標準税率は20%ですが、食品は5.5%、レストランでの食事は10%といったように、サービスや品目によって税率が異なります。
 イギリスでは、「付加価値税」として20%の税率が設けられていますが、食料品や書籍、子ども用の衣料などには0%、その他にも5%の税率の品目もあります。特に菓子類の分類は複雑で、チョコレートは20%ですが、チョコのかかったエクレアはケーキとみなされて0%になるなど細分化されています。

 では、日本はどうなるのでしょうか。軽減税率の対象となるもの、ならないものを品目ごとに見ていきましょう。

■食品、新聞
 軽減税率の対象となるのは、米・野菜・肉・調味料・飲料などの食品、週2回以上発行され、定期購読契約が締結されている新聞です。駅やコンビニなどで販売される新聞や電子版の新聞及び書籍・雑誌なども軽減税率対象外です。
 また、酒類は軽減税率対象外です。酒類に該当するかどうかは、アルコール度数によって決まります。酒税法においては、アルコール分一度以上の飲料が酒類として定義されています。そのため、みりん風調味料(アルコール分一度未満のものに限る)は軽減税率対象ですが、みりんはアルコール分が一度以上あれば、軽減税率対象外となります。

■テイクアウト・宅配/イートイン・ケータリング
 テイクアウトや宅配は軽減税率対象ですが、イートインの場合は軽減税率対象外です。同じ品物でも、イートインコーナーで食べる場合と、持ち帰る場合では税率が異なることになります。また、ケータリングは軽減税率対象外です。

 軽減税率の対象なのか対象外なのか、どちらにあたるのかは、「食事の提供」を行っているかどうかで決まります。この「食事の提供」とは、飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させるサービスを提供することをいいます。「食事の提供」に該当すれば、軽減税率の対象外です。

 では、どのような場所が「食事の提供」と判別されるのか、具体例をあげてみました。以下の場所での飲食は、軽減税率対象外の一例です。
 ・ファーストフード店等の店内での食事
 ・コンビニのイートインスペース、スーパーの休憩スペース
 ・フードコート
 ・カラオケボックス
 ・学生食堂、社員食堂

■医薬品等
 医薬品等は軽減税率対象外です。「医薬品等」とは、法律で「医薬品等」として規定されているものであり、健康食品やトクホ(特定保健用食品)は医薬品等に該当せず、軽減税率の対象です。医薬部外品は医薬品等に含まれますので、軽減税率対象外です。例えば、栄養ドリンクでも「医薬品」「医薬部外品」と記載されているものは軽減税率対象外ですが、「清涼飲料水」と記載があるものは軽減税率の対象です。

まとめ

 以上のように、生活必需品でも税率の異なるものが数多くあります。上手に家計管理を行うために、一度、軽減税率対象のもの、対象外のものをチェックしておくとよいでしょう。 
 また、住宅や自動車に関しても増税前後では、関わってくる制度に違いがあります。「大きな買い物だから増税前に安く買う!」という視点だけでなく、増税前後でのメリット・デメリットをしっかり確認し、長い目で見て、ご自身に合った選択ができるよう検討することをおすすめします。
 本コラムと合わせて、こちらの過去のコラムも参考にして、増税に備えて考えてみましょう。

 1年後の消費税10%に向けて家計見直しのポイント(2018年10月号(2))

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